チラシ配り人の憂鬱 

路地

チラシ配りのバイトも2か月以上経ったが、今月は本業が忙しくてあまり成績が上がらなかった。地震のせいかチラシの到着も遅れた。前にも書いたが狭い路地のまた奥にくっつくように家が建ち、風通しが悪く陽の差さない環境がけっこう多い。道も当然、袋小路になっている。一旦火事にでもなったら悲惨な事態を招くことは明らかだ。今回のような地震しかりである。目に付くのは無人の廃屋となっている家、廃屋とはいえないが生活感がなく表札もなくなっているような家だ。汚れた郵便受けに古いチラシが詰め込まれっぱなしになっていたりする。真っ昼間、そこだけシーンと静まりかえっている。こういう場所に立つと何だか身震いするような怖さを覚える。社会から途絶した、ないはずの空間だからだろうか。

路地で配っているとどこからともなく歌が聞こえた。マヒナスターズの「北上夜曲」だ。それが終わり、ついで「寒い朝」が始まった。マヒナのアルバムらしい。赤い屋根・白い壁の一見瀟洒なマンションの二階から聞こえてくる。そこは路地が交差しているところなので何度も行き来せざるを得ない。必然的に「寒い朝」をずっと聞かされるはめになった。こちらも小声で歌いながらチラシを配る。見上げると女性がベランダに出てきた。よくわからないが我々と同じくらいの年代だろうか。今度は「泣きぼくろ」が掛った。自転車に乗った保険屋さんらしい女性の二人組がやってきて、「いい音楽が聞こえる」「カラオケだ」などと話しながら反対側の家の中に入っていった。
   

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イカレタ男 

大島

年若い人間の会話には「イカレタ」が多い。しきりに「イカレタンデスカ?」「イカレタラ」などと言う。これは我々の日本語では「いらっしゃったんですか?」「いらっしゃったら」と翻訳できる。イカレタも間違いではなかろうが語感の悪いのが致命的だ。もちろん私は絶対使わない。何でもレルを付ければ敬語になるだろうという発想が気に入らん。「敬」がないのに言葉だけ敬語形式にしておこうという考え方が見え見えである。テレビでは「おしゃべりになる」という変な言葉も聞いた。「しゃべる」は「話す」のくだけた言い方である。これが敬語になるわけはないだろうに。「見た」の敬語は「ご覧になる」だが、若者はこれが言えず「見られた」を連発する。何にでもレルラレルをつけて敬語化した気になるのは、ら抜き言葉蔓延の反作用ではないだろうか。そんなことを考えてしまう。

「いいです」「ないです」もヘンな言葉だが、話し言葉やネット上の文章では普通のように使われている。いまは辞書にも載っており、現状追認式だが既に市民権を得ているわけだ。さすがに新聞やその他まともな文章ではこの言い方はなされていない。したがって許容されているが抵抗もあるということであろう。たしかに話し言葉が「ない」「いい」で終わってはぶっきらぼうの印象を免れない。

書き言葉でおかしな表現に「……すべき」というのがある。新聞見出しや区議会の議事録に多いが、正しくは終止形の「……すべし」であろう。「すべき」なら「だ」や「である」が後ろに付かないとおかしい。したがって「すべき」はそれらの語が省略された表現だとの屁理屈も聞いた。ならば「すべし」で何がいけないのか。滝廉太郎が曲を付けた武島又次郎の「花」は「眺めを何にたとふべき」だが、語尾の省略によって余韻を生み出す詩歌ならではの技法である。「すべし」では古色蒼然としすぎとの指摘もあった。それなのに「すべき」がいいとはどういうわけだろうか。
  

一太郎 

調布

一太郎2011 創 プレミアム(以下「一太郎」)を購入した。DOS時代は日本語ワープロのナンバーワンとして鳴らした一太郎も、Microsoft Officeに押されて苦戦が続く。しかし根強い支持者がいるからバージョンアップしているのであろう。いまなぜ一太郎を買ったかといえば、リュウミンと新ゴがファミリーで使えるというのに惹かれたのである。ところが如何せん字体が古くJIS2004以前の字体である。Windows Vista以降、MS明朝・MSゴシックがJIS2004をサポートしているのに比べて見劣りするのは言うまでもない。しかもこの書体は一太郎・花子など対応アプリでしか使えないのだ。字形の問題だけなら、たとえばリュウミン-Lの場合その漢字だけをMS明朝に変えれば何とか対応できるだろうが、新ゴは何で代替するのかなど悩みは残る。なお、一太郎は漢字・仮名を別のフォントにするような混植の指定は出来ない。

買った後で気づいたのだが、OSがVista・Win7ならばリュウミン・新ゴのファミリーにMB101を加えたTrueTypeパッケージが1万円ちょっとで買えたのである。私のパソコンはXPだから恩恵に与れないが、パソコンを新しくしてもいいくらいこのモリサワのフォントパッケージは魅力的だ。なにしろ、DTPの世界で日本語組版の定番がリュウミン・新ゴ・MB101の組み合わせなのだから。他方、ジャストシステムはなぜこんな中途半端なおまけを付けたのか疑問である。

しかし一太郎にはもっとイヤな問題があった。まず一太郎をインストールしたらパーソナル編集長の動作がおかしくなった。一太郎とパーソナル編集長をアンインストールし、入れ直したら解消した。こんどはMicrosoft Works7.0の表計算の動作が狂い始めた。これはインストールのし直しでは直らない。カーソルをセルに移動しただけでデータが次々に消えていく恐ろしい症状だ。手が付けられない。これらのファイルはExcelのファイルにしてOpenOffice(私の持っているMS Office互換ソフト)で使うしかない。で、肝心の一太郎だが、何に使ったらいいのだろうか??