父からの電話 

野辺地


月曜日の朝、亡き父の夢を見た。父の夢というより父と電話で話している夢だ。「おー」と言う父の声が驚くほど明瞭に聞えた。「母さんが亡くなったの、知ってるだろ」と訊くと「(そのことで)10年老けたよ」と言うので、「元気ならそれで……」と言い掛けて、声が詰まった。振り向くと母の病室にはもう誰もいない。窓の外は冬枯れの野山……そこで目が覚めた。8時ちょっと前である。慌てて起き出し父の写真に手を合わせた。

  幽明を繋ぐケータイないものか

これは下の弟が亡くなったとき、そうとも知らずにつくって東京新聞の時実新子川柳教室に投稿し採用された作品である。彼の遺体が発見されたのは奇しくもその直後であった。あれから12年、父も母も逝って我が家は土の下の方が賑やかなくらいだ。弟は相談相手にならず、話したいのは異界の人たちだが、その間の交信はまだ夢という頼りない手段に委ねられている。思いがけぬ父からの夢電話……それは早く墓参りに来いということであろうか。
      

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ちょっと仕事が入るとアタフタ 

荒野の北砂五丁目団地


喪中はがきをやっと投函し終えた。約80枚。通夜と葬儀に来た人には出さなかったので、野辺地の分は20枚で済んだ。しかし、喪中はがきは年賀の挨拶を欠礼する知らせなので、通常は通夜や葬儀に来た人にも出すものだという。その代わりというわけではないが、親戚はもちろん通夜に来てくれた人には可能な限り写真を送った。喪主なのに挨拶そっちのけで写真を撮ったりしているのはあまりいいことではなかったらしいが……。
喪中はがきの用紙は菅公工業の和風ハガキ「冴 SAE」葬祭全般用(てんれいIJ紙)というのを使った。枠のない雲龍模様のものだ。紙厚0.28mmでこの模様では最も厚く値段も高い。ところがこの和風用紙がトラブルを引き起こした。表面を80枚刷り裏返して宛名を4分の3ほど刷ったところで、紙送りが滞り始めた。PX-G5300の紙送りは優秀で、数年使ったがこれまで紙送りのトラブルは一度もなかった。それが連続の紙送りができなくなり、1枚ずつ差しても郵便番号が思い切り左にずれて印刷される。エプソンのサイトで見ると、こういう時はクリーニングシートを使えとある。仕事の帰りにビックカメラに寄ってクリーニングシート(エレコム)を購入。2、3回通すと簡単に解決した。ただ、クリーニングシートは3枚入りで420円と少々高い。1枚で何度か使える。

土曜日は古紙回収の日。先月持っていってもらえなかったので、新聞の袋は2つになった。例によって新聞を分けてスキャンするのは骨が折れるし、眼にもよくない。そのせいか、ここ半年ほど時々感じていた飛蚊症が急にひどくなった。左眼だけのようだが、黒くて細長いものが張り付いたりうごめいたりして見えるのでひどくわずらわしい。今度行く時は眼科でよく調べてもらう必要があろう。一方、いつものように土曜日に耳鼻科へ行ったのに、祝日で休診になっており愕然とする。というのも、月・火は仕事で間に合いそうになく、水曜日は定休なので次の木曜日まで診察も受けられず薬ももらえない。こんなふうに少し仕事が入るとアタフタする。すっかり無職モードに慣れてしまったようだ。
       

アンガージュマン 

御茶の水


「午後三時。何をするにも早すぎ、何をするにも遅すぎる時刻――。」
とは確かJ・P・サルトル『嘔吐』の有名な一節だったと思うが、今や巷でサルトルの名前を聞くことはなくなったし、かの一節を口ずさんだとしてもはや後を引き取る者もいない。政治参加を表す「アンガージュマン」などの語を知る者は絶無である。いや、私は単に仕事もなく、午後は長いなと思っただけなのであるが……。母が元気な頃は、夕食前の4時半すぎに必ず電話して母に語りかけ、返事を聞けなくても弟に体調を確かめる。携帯でも家から掛けないと落ち着かず、いつも電話が終わってからギャラリー回りに出掛けていたのだ。それがなくなったので、いささか調子が狂ったのは事実。早く新しい生活パターンを作らなければならない。今はほとんど毎日10時起きで、午前中はネット情報やメールのチェック。午後はテレビを見始めるとかなりだらける。

仕事といえば、従来の例からいくと今週入らなければならない雑誌の仕事が入らず、ミスでもして切られたのかと思っていたら、来週から入ってきた。毎月下旬のWebの校正と前後して飛び飛びに予定が埋まり、21日の四十九日にはとても帰れそうにない。23日には古紙回収もある。仕事が最優先だからここはいさぎよく弟に任せ、私は来月4日の月命日に帰ることにした。そのくらいは母も許してくれるだろう。仲間内の忘年会も7日に決まったし、今年も本当に後がない。来月30日に私は待望の70歳を迎える。年金の繰下げ受給の分を受け取るようにし、シルバーパスの申請もしたい。この時期、山羊座は愛・財・芸という金星の恵みを受ける。そろそろ動きだす時期かも知れない。
     
前夜「ドクターX」を観ていたせいか、朝方、他人がおできの手術を受けるというへんな夢を見てしまった。腰にできた巨大なおできをグリグリと無造作に切っていく。夢診断ではどういう意味になるのだろう。