髪を切る苦労 

用賀


髪は長い間自分で切っていた。中目黒の今はなき清風ストアで買ったレザーカッターとT字カミソリ、すきバサミを使い、合わせ鏡で切るのだが大仕事であった。切りすぎて地肌が見えたりの失敗は数知れない。レザーカッターの刃は貝印の青箱というのでないとうまくできず、通販で買っていた。だが、ここ数年は大島の900円カットの店でやってもらっている。自分でやるより格段にきれいだし、手間がかからない。ただこの店、店名がハッキリしないのは我慢するとして、スタッフが微妙に変わるので落ち着かない。1人はやや固定したスタッフがいるようだが、彼に当たるとは限らないし、年配の女性がいたり若い男性になる時もある。どこかに別の店があり、そこと融通を利かせているのかと想像したりする。いつもいる人がいいとも限らない。先日は見ない顔のずんぐりした男性スタッフがやってくれたが、普通は髪を切り終わってから仕上げに眉毛を整えるのだが、彼は右側の髪を切り終わると右の眉毛を揃え、左もまた同じことをする。ドライヤーの当て方も強すぎて少々熱い時があった。自我が強すぎてお客の身になれないタイプか。しかし、終わればそれなりにグッドな仕上がりで数歳若返ったような気がした。

26日は世田谷美術館の「実験工房展」最終日で、A君の誘いを断って駆けつける。実験工房は戦後の一時期、ジャンルを越えて集まった若手前衛芸術家のグループである。活動の一端は大阪万博に繋がるなど、その後のアートシーンに多大な影響を与えた。これは無理しても観る価値があった。30日は午後から雨で、コンビニと郵便局へ行き寒中見舞いを投函するのみ。郵便局ではコンビニで売っていないインクジェット紙はがきを追加で買う。ギャラリーへ行きかけたが天気を見て断念する。寒中見舞いは制作と宛名印字に手間取り、相手に着く頃には寒が終わりそうだ。正月明けには取りかからなければならなかったのである。いつもこんな具合だ。
    

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CM斬り 

お茶の水


東京メトロの「東京の魅力を伝えるカラフルな広告キャンペーン」が始まった。堀北真希が千駄木で一日甥っ子と遊ぶ、さわやかな「こどもに返れる篇」……待てよ、うっかり真希ちゃんに騙されるところだったぜぃ。それを言うなら「こどもに帰れる」じゃないの? 何度も流れるのでメールしてやった。一方、三菱自動車の「デリカ D:5/パジェロ クリーンディーゼルの実力」というCM。特殊な車の上につくった45度の急坂を市販車で登る。すごい。字幕は「チャレンジ! 脅威の登坂」……。一瞬だから見逃してしまうが、正しくは「驚異」。これはYouTubeでも公開されているからぜひ確かめていただきたい。誤変換の典型例だ。軍需に縁の深い三菱系だから、「脅威」が先に来たのか。やはり宣伝部にメールする。
まず東京メトロから返事が来たが、「CM中の文字表記により、不快な思いをおかけし……」とあり、そのパターン化した表現にガッカリしてしまった。「今後の参考にさせていただきます」と、のんびりしたものだ。参考程度かい。しかし、東京メトロの名誉のために付け加えると、メトロはこういう点で間違ったとなると対応は実に素早い。三菱自工からも返事が来て、さすがにこちらは「早速関連部門へ対応を検討するよう申し伝え……」と、多少あわてた心理が分る。上記2つのCMはいずれも大手広告代理店の制作である。

今日、お茶の水の井上眼科クリニックへ行く。4時前に入って6時に終わったから、早い方だろう。予約していくと手早いようだが、その余裕がない。ラウンジは19階で暮れゆく神田川がよく見える。眼の断層写真を撮ってもらったら、真ん中にプチッと白いものが見える。それが病気かどうかは微妙なところだと……。
   

寒中お見舞い 

野辺地


金曜日は午後から久々に一ツ橋の某社へ行ってきた。少なくとも昨年1年間はお呼びがなかった現場である。決して仕事が増えたわけではなく、内部でスケジュールのやりくりができなかったせいらしい。ルビのチェックで総ルビのゲーム本(のゲラ)を見続けたら目がおかしくなった。ここの最大の欠点はコーヒーの自販機がないこと。缶コーヒーならあるが、私は缶コーヒーはコーヒーとは認めないし絶対飲まない。7時過ぎ終了。エレベーターホールの窓の真下に共立高校のテニスコートが見える。土曜日は眼科へ行く。右目の視力がかなり悪い、というより中心部に視野の欠損があってランドルト環が見えづらくなっているようだ。視野検査でも中心のオレンジ色のLEDの中にグレーの欠損部が入り込み、日食のように見える。これは前回(昨年)にはなかった現象だ。しかし、先生は相変わらず病変は認められないという。西洋医学では検査して異状が認められなければ気のせいにされ、治療も受けられない。西洋医学は症状を仮象と見なし、裏にある本質を捉えようとする。その点、現象学的な東洋医学のファジーなアプローチとは正反対だ。

仕事仲間が神経鞘腫という聞き慣れない病気で入院した。腰の痛みで休んでいると聞いてはいたが、単なる腰痛ではなかったわけだ。手術して2月半ばまで入院する予定とか。彼は前にも九死に一生の大病をして入院生活を送った。だがその後も布袋腹の肥満体質は改善されなかったようだ。しかしフリーが入院したらたちまちピンチに陥るのは火を見るよりも明らか。健康の問題も金銭の問題も、関係の問題もある。フリーでござると勝手気ままな暮らしを送ってきたツケが回ってきているのは彼だけではない。今日はひときわ寒い。