蜘蛛女に気をつけろ 

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PSAを検査してもらっているA医院にお礼かたがた生検結果の報告に行く。MRI画像のCDも返さなければならない。先生には(何でもなかったのに)「あまり嬉しそうじゃないね」などと皮肉を言われる。そのわけは検査の後遺症が完全に治ってはいないから。年末にはここでまたPSAを検査してもらう予定だ。A先生はフレンドリーなのだが、テンポが早すぎるのか話がいつもかみ合わない。風邪で行ったりすると薬をどっさり出してくれる。泌尿器がメインなのにスタッフがみんな女性ばかりで、男性特有のセンシティブ問題は相談しにくい局面もある。最近、団地に新たな内科クリニックと薬局が開業したので、風邪などはそちらに掛かることになるかもしれない。

先日行って意見を書いた教科書展示会は初体験で上手く書けたかどうか疑問だったが、Mさんによると江東区の中学社会科の教科書は、歴史が教育出版、公民が東京書籍に決まったそうである。従来の教科書を継続したかたちだ。一方、都教委は都立中や養護学校などの歴史・公民教科書に育鵬社を選んだという。まだ石原都政を継承しているようだ。教育が政府の意図を反映するなら、それは専制国家に他ならない。事実、自民党の改憲案は万事国家が国民をコントロールする統制的国家像を露わにしている。
渡辺喜美を沈黙させたりと評判の策士・菅義偉の記者会見は、多くの場合、彼が何度もうなずく場面で終わる。自分を納得させるかのようにしつこくうなずく。テレビを観てつられてうなずいているお年寄りもいるだろう。相手はマスコミの記者たちだが彼らもうなずいているのだろうか。だがマスコミよ、権力者に容易くうなずいてはいけない。うなずくことは肯定のしるし。分かりましたというのは早すぎるし、マスコミの義務でも権限でもない。相手は仕草を見ているうちに真似させられ、最後は自殺させてしまう蜘蛛女かもしれないのだ。

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27日夜は市民の声・江東が開いた「壊すな憲法! 許すな戦争法案!」という学習会で日体大教授(憲法学)・清水雅彦氏の講演を聴いた。清水氏は、安倍政権の時だけ危機が誇張される事実に、安倍政権こそ東アジアにおける最大の不安要因だと断じ、明文改憲から96条改正による立法改憲、そして今回の解釈改憲(戦争法案)へ変遷した自民・安倍政権の思惑と、「ガイドライン」の危うさ、集団的自衛権が主に大国による小国侵略に使われてきた事実、戦争違法化の歴史などなど、日本国憲法を巡る内外の議論を包括的に解説し、非常に内容のある講演だった。清水氏の教え子という共産党区議も参加していたし、質問に答えて最近名前の売れた憲法学者たちへの批判も聞くことができた。清水氏は党派を越えた運動の広がりを評価しつつも、自派の勢力拡大に利用しない原則を訴えた。江東区でデモをやりなさいとも言っていた。貴重な講演に少なからず居眠りしたことは反省したい。

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青い鳥はデジタルの夢を見ている 

東北沢


17日は前立腺生検の結果を聞く日。台風の風雨が強い中、家を少し早めに出て病院へ向かう。緊張して臨んだが結果は白だ。がんはなかったという。半年後にもう一度PSAを調べ、上がっているようだったら考えましょうと言われた。岡部氏が前立腺肥大の薬を服用してPSAが下がったと書いていたので訊いてみたが、薬は出ないとのことであった。ま、ともあれひと安心だ。
しかし今回はなんだかヘンな展開だった。PSAがどんどん上がったのは事実だが、その後撮ったMRIの画像が専門のYクリニックの診断で黒に近いような表現をされ、すっかり焦ってしまった。地元のA医院で観た画像は確かにグチャグチャしているように見えたが、この日、有明病院で観せてもらった画像はその辺がさっぱり分からなかった。MRI画像の診断がなければ即座に生検をお願いすることはなかったかもしれない。有明の先生が言うとおり、PSAの推移を見てからでもよかったと思う(結果的に受けることになったとしても)。 こうなるとMRI検査の精密さも良し悪しと言わざるをえないがどうだろうか……。
なお、前回検査は14カ所と書いたが、実際は16カ所取っていた。

湾岸
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ギャラリー冬青で個展を開いている井本礼子さんに話を聞いた。井本さんは米国で写真学の修士号を取り、現在はブリュッセルを拠点にして活動する国際派フォトグラファーである。ちょっと見はどこにでもいそうな気さくなお嬢さん(…?)だ。これまで冬青で観た彼女の展示はすべてB/Wだったが、今回の個展『CUBA 青い鳥は海の向こうの夢をみる』は初のカラー作品となり、同名の写真集も上梓された。昨年、現実を大胆にデフォルメさせた「Dreamscapes」をキューバの2都市で展示した時に撮ったものだという。かの国の人々と触れ合いながら撮られた作品は、これまでのモノクロームからがらりと変わって繊細な色彩に透明感があり、キューバ物としてみても出色と言える。
キューバのアート事情はかなり特殊らしい。画家や写真家は職業としてなにがしかの給料が国から出るが、現実は裏マーケットでの取引がカバーしている。写真はコンセプチュアル作品が主体で、体制批判はご法度の由。ガイドブックにあちらでは政治の話はしないようにとの注意書きがあったというが、人々はそういう話も大好きで会えば結構大っぴらに語り合うようだ。シュルレアリスム志向が強い彼女の作品は思いの外好意的に受容されたという。写真はフィルムなど銀塩の感材が払底する中でデジタルに移行しているが、プリンターなどは何とかやりくりできるとして質のよい用紙が入手できず、それが作品制作のネックになっているとか。エプソンがデジタルプリンターを世に出すに当たって、最初に開発したのが用紙だったという話を思い出した。

広尾
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都市の未来図 

「ゆりかもめ」は先頭の席がおすすめ
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いよいよお待ちかねの生検だ。前日までに住民票を取り同意書やら家族の病歴やらたくさんの書類に記入する。ちょうど下着が足りなくなっていたので、シャツとトランクス各2枚、サンダル、洗面用具入れと紙の手提げ袋を買う。読み物は新聞で大丈夫だと思ったが、念のため新書を1冊買っておく。書類やカメラ、携帯の充電器を含め、全部入れると野辺地へ帰るときと大差ない重さになった。
9時に家を出て10時に病院入り。入院手続きの後、5階の西病棟へ上がってベッドをもらい看護師と助手の説明を聞く。同じような書類を書かされる一方、日程表にはイベントが時系列で書いていないのでのみ込むのに苦労する。部屋は4人で若い人、中年、老年が入っていたが、ほとんど顔を合わせないし詳しいことは知らない。挨拶しようにもカーテン越しではやりにくい。ただ、老年の人が見舞いの若い女性たちと話しているのを聞くに、故郷は私と近いのではないかと思われた。

昼食はなく、水も12時以降は摂れない。生検は2時の予定が延びて、呼ばれたのは2時50分頃。看護師と3階の手術室に入る。部屋がたくさんあるフロアのずっと奥の方。検査してくれるのは主治医とは別の先生だ。まず下を脱ぎ、大股開きの格好で両脚を台に載せ、ぶらぶらするものは引き上げてテープで固定する。電解質の点滴、心電図の電極を貼り親指に脈拍センサーをセット。部屋にパルス音が大きく鳴り響くのが不気味だ。脈が速い。肛門に超音波プローブをググッと押し込む。さらに奥へ押し込まれる。その後エコーを見ながら針を刺しているようだが、局所麻酔をしていても針が刺さるときの気持ちの悪い感覚は消せない。バチンと音がすると1回終了。それが間を置いて規定通り14回行われ、全体で30分以上掛かった感じ。最後にプローブを抜き止血する。終わった時、緊張で肩がパンパンに凝っているのが分かった。後は車いすで病室まで運んでもらう。

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麻酔が切れると股間の鈍痛が強まるが、それほどでもない。直後のおしっこは透明で安心していたら、夕食後の9時頃、少し眠った後でモワーッと濃い血尿が出たのにはビックリだった。腹具合も悪くガスが溜まって中身はほとんど出ない状態。その後も血尿が続くので心配になり、夜中に看護師に聞いたら予定通り朝イチで容器に取ってくれと言う。それはやはり濃いピンク色だ。結局、夜中はほとんど眠れなかった。朝食後、回診のときに先生に聞くと、血尿は何日か続き、止まってまた出たりすると言う。ともあれ、退院は予定通りだ。退院のときは前の人に倣って後の2人に挨拶しておく。

生検は聞きしに勝る難行苦行だ。容易く人に勧められるものではない。
あえて収穫を挙げるならば、眠れぬままに見た有明の夜景(言葉的には矛盾がある)で、無人の都市が雨に濡れる中、白い灯を点した「ゆりかもめ」が音もなく走って行く様にときめいたことか。「ゆりかもめ」は無人運転だし、乗客がいてもいなくても時間通り走る。人間が皆死に絶えた後もこうやって走り続けるのだろうか。現代の都市は既に未来を内包しているかのようだ。

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