『たまらん坂』 

団地にて
団地の桜

ついに風邪で4日寝込んでしまった。川歩きの日の夜からおかしかったので、風呂に入らず早寝したが間に合わず、次の日から喉の粘膜が猛烈に痛くなった。寒気がして水仕事もできないので、寝ているだけ。幸い仕事がないので助かる。原因は部屋の乾燥だ。毎年ひと冬結露で悩まされるのだが、それがなくなったらヤバイと気づくべきだった。水曜日にやっと近所の医院へ行き診察を受ける。すると直後に社長から電話が掛かってきて、13日の金曜日に竹橋に入れとの指示だ。S氏が亡くなりその代役だという。思わず聞き返した。13日は下の弟が孤独死で見つかった日なので、川崎へ行くつもりだった。S氏とは先月仕事で会い元気なハゲ頭を見たばかりだった。彼は一度故郷の山形に帰り印刷会社に勤めたが、定年になってまた東京に舞い戻ったのだ。しかし神経質な現場ではどこか浮いているように見えた。60年代、ベトナム反戦で兵器工場に侵入し、機械に砂をかけたグループの1人だと聞いた気もする。やりたいことをやり切った余生だったのかもしれない。享年67歳。67は牡羊座にたくさんある厄年の最後の1つであった。謹んで冥福を祈る。

風邪で伏せっている間に黒井千次の『たまらん坂 武蔵野短篇集』(講談社文芸文庫)を読了した。収録された短篇は「たまらん坂」「おたかの道」「せんげん山」「そうろう泉園」「のびどめ用水」「けやき通り」「たかはた不動」の7篇で、本来漢字で書く実在の地名を平仮名で示したところに作者の密かな思惑がある。主人公は定年を迎えたり定年間近だったりする初老の男である。この時期、新刊でもないこの本を平積みにしておいた東京堂書店の狙いはそこだったのだ。編集部がカバー裏に印刷した惹句を引くなら、「日常と皮膜一枚で隔たった異境で彼らが出会う甘やかな青春の残像、人も自然も変貌する現実の苦味を、清冽な筆致で描く連作短篇集」である。「異境」とある部分は「異界」がよりふさわしいかもしれない。
      

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コメント:

またしても孤独死

S氏は仕事に来なかったので、N女史がアパートを訪ね大家と警官立ち会いの下にドアを開けたら、パソコン使用中に亡くなった様子だったそうです。私たちの仕事集団は独り者が多いので、こういう危険は多いといえます。

孤独死

近年「孤独死」のニュースは頻繁に報じられている。3.11以降盛んに【絆】の文字が出てくるがそれでも孤独死は発生し続けている。本当のい意味での【絆】は昔語りになってしまった気がする。それにしても寝込んだのが4日間でよかったね、永遠に続かなくて・・・!。(^0_0^)

Re: 孤独死

寝込んだといってもそれは単純化した言い方で、実際には歩き回ったりします。喉が痛いのでなかなか熟睡できません。熱もびっくりするような高熱は出ず、その分治りにくいともいえます。気楽な独り暮らしもこういうときは心細くなりますね。

「黒井千次いただき」

というメールがG君から。コメントのつもりだったが、コメント欄が見つからないと。コメントは記事下のコメントという文字をクリックするとボックスが開きます。わかりにくいかもしれないけど、そこまで解説するスペースがない。とりあえずいじってみて下さい。

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