さよならだけが人生か 

北砂4丁目
のうぜんかづら

この間ブログの更新が出来なかったのは、先に亡くなったS君(1つ下だからこれでもよかろう)とIさんを送る会が七夕に開かれるので、私なりに2人の遺影を用意しようと苦心していたためだ。S君のはすぐ出来たが、Iさんの写真にいいのがなく、結局、会に間に合わなかった。新しい画像データ、その前のカラーネガ、古いカラーネガ、更には30年分のモノクロネガまでひっくり返し、さすがに全部とはいかなかったが探したものの見つからなかった。その代わり古いモノクロに別の貴重な画像――いずれ焼くなりスキャンするなりして公開したいものがたくさんあったのだ。それはカメラを常に携行していた「関係の写真家」だからこそ撮れた記録である。同時に、よくこんなつまらないものが撮れるなというものもあって我ながらげんなりしたが……。

送る会は予定通り七夕の夜にゲストを含め20人が参加して行われた。皆それぞれに2人の思い出を語ったが、とくに実像定めがたいS君への毀誉褒貶は甚だしかった。若いころはアナキストとして仲間と田無の兵器工場に突入して機械にコショウをかけ、中野に名曲喫茶を開いたが商売っ気がなくて続かずスポンサーに見放され、かと思えば森昌子が好きで、バッハ論の立派なアンソロジーに名前を連ねたり、雑誌に連載を持ったりしていたことも今回初めて知った。しかし、主たる現場で机を並べていた連中は誰も顔を見せないという事実が彼の立場を物語っている。序列や規則の細かい職場では疎んじられ、趣味の世界では濃密な関係を築いてのびのびと羽ばたく……それがS君の性格の二面性だったのか。後ろを振り返ることなく、しゃにむに突き進んだ彼の道にはぺんぺん草も生えそうにない。
     

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コメント:

おくり人

誰しも二面性(あるいは多面性)があってこその、その人なりの生きざまだろう。「送る会」をやってくれる友がいる道を、歩いてきたその人の一生のなんと素敵なことだろう。ぺんぺん草も生えない道でも、20人ものおくり人もまた同じ道を歩いているのだから・・・。

Re: おくり人

とはいえ、事務所も高齢者・後期高齢者ばかりでこのへんの冗談は冗談にならない状況になってます。悪口を言って送られるうちが花とも言えますかね。災害はどうにもならない、せめて身体には(少し)気をつけましょう。

井伏鱒二

さよならばかりが人生ではないでしょうが、身体時間の経過とともにさよならが増えてくるのは致し方ない。冠婚葬祭でいうと、一年を振り返って出席した結婚式の数より葬式の数のほうが多ければ人生も半ば過ぎだ。後は加速度的に葬式が増える。新しい人を迎えることと去りゆく人を送ることは重要な行事であるのだろう。その個人への好悪は別にしてもいい送る会だったのではないですか。
ところで表題の名文句、元は漢詩で井伏鱒二の訳とは聞くが井伏のどの作品に入っているのだろう。

Re: 井伏鱒二

> ところで表題の名文句、元は漢詩で井伏鱒二の訳とは聞くが井伏のどの作品に入っているのだろう。

↓ここを参照して下さい。以前話題になってました。
http://blog.goo.ne.jp/mnmymkym/s/%B0%E6%C9%FA

お久しぶりです

少々気分が内向きでしたので、しばらく自分のブログの記載だけしていました。他の方のブログのコメントまでは気持ちが向きませんでしたので。

さて、「さよならだけが人生だ」について以前の言及思い出しました。

「漢詩の「勧酒(酒を勧む)」、これは元の詩より井伏鱒二による訳詞が名訳として知られています。
オリジナルの漢詩ではこうなります。
  勧 君 金 屈 巵
  満 酌 不 須 辞
  花 発 多 風 雨
  人 生 足 別 離
そして、井伏訳では
  コノサカヅキヲ受ケテクレ
  ドウゾナミナミツガシテオクレ
  ハナニアラシノタトヘモアルゾ
  「サヨナラ」ダケガ人生ダ
となります。
この「さよならだけが人生だ」は寺山修司が好んで口にしていたようで、寺山の言葉として記憶している人もいる位ですが、井伏訳の「酒を勧む」が元ネタだったようです。
オリジナルの詩の作者、于武陵は唐代の詩人だそうです。」

と、ネットで調べたら出てきました。




  • [2012/07/11 11:42]
  • URL |
  • メタボの白クマ
  • [ 編集 ]
  • TOP ▲

Re: お久しぶりです

詳しい情報をありがとうございます。後藤君も喜ぶでしょう。

またコメントをよろしくお願いします。
    

情報への礼状

メタボの白クマ様、大納言様
懇切な情報提供ありがとうございます。早速、原典(と言っても井伏鱒二までですが)に当たってみましょう。そのうちには漢詩のほうも・・・・。

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