「重重」の重たさ 

新江古田
百日紅 新江古田

先週の土曜日、江古田のギャラリー古藤で開かれていた安世鴻写真展「中国に残された朝鮮人元日本軍“慰安婦”の女性たち」を観にいく。安氏の写真展は知っての通り6月から7月に新宿ニコンサロンでの開催が予定されていたが、ニコンが理由を明示せずに中止を通告。地裁への仮処分申請が通って一応開催されたものの、会場は物々しい警戒で作家と観客の接触は禁じられ、写真集の販売もトークショーも許可されなかったという。ニコンの国粋派へのお追従には怒りを通りこして苦笑を禁じ得ない。結局、予定されていた大阪ニコンでのアンコール展も中止になったらしい。江古田での展示は安氏が主宰する重重プロジェクトと市民の実行委員会が、ニコンの展示に新たな作品数点を加えて行うものだという。当日は最終日前の土曜ということもあって、暑苦しいほどの込みよう。個々の作品をじっくりというわけにはいかなかった。

写真は旧日本軍が「徴用」して、終戦により中国に置き去りにした元慰安婦の女性たちの今を撮ったものだ。カメラはただ、異郷での孤独な生活を淡々と写す。韓紙という光沢のない紙にプリントしたことは賛否あろうが、私としては光沢紙でも彼女たちの孤独さは十分伝わったと思う。よく知らなかったが、日本軍は朝鮮半島で女性をトラックに乗せて強制的に拉致し、あるいは「勉強ができてお金が儲かるところへ行かせてやる」などの甘言で釣って慰安所へ集め性奴隷にした。彼女たちは日本が侵攻したほとんどの地へ軍とともに移動させられた。終戦で日本軍は多数の朝鮮人慰安婦の帰国措置をとらず、現地に置き去りにしたのである。置き去りがまだ現在的状況であることを安氏の写真は明らかにしている。日本軍は性病対策で慰安婦にはなるべく性経験のない若い女性を要求し、安氏の作品に写る最も若い人の場合は13歳で慰安所へ送られたというから恐ろしい。

追記:ニコンサロンの審査員(土田ヒロミ、大島洋、伊藤俊治、北島敬三、竹内万里子)のうち、竹内万里子氏がこの件での抗議が認められなかったとして辞任したそうだ。他の審査員はどう考えているのだろうか。皆、名高い写真家であり美術評論家である。黙っていることは許されまい。
      
   

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コメント:

重重

彼女たちの写真の前では、何を言っても薄っぺらな感想になってしまいそうな気がしました。
それにしても、第二次大戦当時、慰安婦を帯同したのは日本軍だけだったのでは…?
強制連行を否定しても慰安所の存在は当然と思う政治家を、本当に情けなく恥ずかしく思います。

Re: 重重

> それにしても、第二次大戦当時、慰安婦を帯同したのは日本軍だけだったのでは…?

さてどうなんでしょう。こんなことすらよくわかっていないのは、私が知らないだけ? 自民党の総裁候補5人にぜひ見てもらいたい写真展でしたね。

政治思想のリトマス試験紙

朝鮮人従軍慰安婦と南京大虐殺の問題は、日本の政治家へのある種のバロメーター・リトマス試験紙であるらしい。同じ傾向の政治思想のの持ち主は必ず同じ反応をする。
そうした中で同一性著しいのが松下政経塾。松下政経塾出身にはろくな政治家がいない、というのが実感。石原慎太郎の尖閣購入の挑発に乗って「先に国が買う」などとガキの陣地争いじゃあるまいに。高木ブーの幼稚園服姿のようなふやけた顔を見るだけでも不愉快だが、とりあえず現首相をその代表としようか。

Re: 政治思想のリトマス試験紙

戦時賠償交渉時には表面化していなかった問題をどう解決するか。それを手続き論・建前論で取り扱えばこうなることはわかりきっているはず。政治思想の出番はどこにあるんでしょう。

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