Mさんの想い出 

雲

Mさんは同じ団地の10号棟に住んでいたフリーライターである。雲仙出身で歳は2つ上だが見かけは若く同年代に見えた。奥さんともどもよく付き合ったほうだと思うが、性格的にはなぜか優越感がぶつかり合う関係で、ときどき鋭い突っ込みを繰り出すのでなかなか安心できなかった。国立大を卒業、商社勤めを経て独立し週刊誌などの記事を書いていた。彼の書いたアウトソーシングビジネスの本を頂いた。『ロビンソン・クルーソー』にアウトソーシングの原型を見るなど卓見もあったが、個々の事例が細かすぎて心配になった。自治会の役員として会報に書いた記事など、プロの記者とは思えない平板なものだった。私が自治会を追い出されたときには状況を全然理解できず、追い出した側が正しいというのでガッカリした。

Mさんがパソコンを買いに行くというので付き合う約束をしていた当日、彼の胃ガンが発覚して取りやめになった。入院も手術もせず自宅で療養する方針らしかった。その後、飲まないかという電話があったが、仕事が忙しくそのままになってしまった。正直言ってどう付き合っていいのかわからなかったのだ。数か月経ったある朝、彼の夢を見て「すまんすまん」と謝った後で現実の電話が鳴り、彼が亡くなったという。知らないその男の声は葬儀の段取りを任されて自慢そうであった。残された奥さんはどこかへ引っ越していった。Mさんは山羊座、奥さんは蟹座で不幸とされる組み合わせだった。
    

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コメント:

すっかり秋の雲

写真・・ようやく秋、という感じになりましたね。
文章の内容はかなり重い・・。しかし類似のことを私も経験する年になったと思います。

  • [2012/10/07 22:25]
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  • メタボの白クマ
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Re: すっかり秋の雲

何雲と言うんでしょう。歳をとると重たいことばかりです。
仕事はいま追い込みです。明日には仕上げて送らなければなりません。今週は事務所の仕事も入ってますが、8時に起きられるか心配です。今日など10時まで寝てしまいましたからねw

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