校正のユートピア 

共立学園
共立

土曜日の夜、水道橋で事務所の忘年会が行われた。参加者11人と最盛期に比べればなんとも寂しい人数だが、それも時の流れというものか。今年は去年の忘年会で大はしゃぎしていたS君が孤独死し、先輩のIさんが逝き、事務所に縁の深いMさんが病没した。Mさんは創生期の事務所が一時間借りしていた大家であり、事務所の会計システムを作ってくれた大恩人だった由。近年はなぜか沖縄に居を移し、柏木俊道のペンネームで『定本沖縄戦 地上戦の実相』(彩流社)という大部の書を上梓したばかりであった。

5月・8月に干上がった私をはじめ、今年は一同いい話が少ない。初孫が生まれた、俳句づくりにうち込んだなんてのはいい方で、ノロウイルスに冒されて欠席した人、心臓にカテーテルを入れて手術をした人、100万円掛けて自宅の床下を直した人、夫婦ともども老化を心配する人、自宅の鍵をなくして立ち往生した人、時の人・安倍晋三そっくりの顔になった人などなど、仕事の話がほとんど出ないことが現状を物語る。事実、仕事の環境は冷え切ったままだ。メンバーの高齢化も著しい。巷に仕事はないわけではないのだが、社長も高齢だし積極的に顧客を開拓するような経営はもう期待できない。あとは面々の計らいに委ねられているところが歯がゆい。我々が夢見た校正のユートピアも、結局は高度経済成長下の錯覚にすぎなかったのであろうか。二次会では孫が生まれて爺になったYさんが、なかなかの美声で「襟裳岬」を歌っていた。
    

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コメント:

ううむ、身に沁みます

今、世の中で、このような話は結構あるのでしょう。孤独死したSさんの話も、つらいものがあります。年齢的なものもありますが、馬力がかからないというのは、惨めでありますが、なんとか、この世の中にぶら下がって、行くしかないとは思えてきます。手を離したら、やっぱり奈落ですし…。大納言さんの健闘を祈っております。

時のながれ

校正のユートピアとはどんな夢だったんだろう。「夢だった」ではなく未だに夢を持ち続けていると思います。多くの人が”時の流れに身を任せる”しかない現実を、そこそこ生きていくためにはしぶとく高齢化に逆らって永らえていきたいものです。だれもが持っているそれぞれの”夢”実現にむけ新年を迎えたいものですね。

Re: ううむ、身に沁みます

か細い糸に大勢がぶら下がっている構図ですな。手を放すと地獄ですが、しがみついていても……。なんともはや。

Re: 時のながれ

この調子で行けば仕事はどんどん入ってくるしお金も貯まる。濡れ手にアワの幻想が社長にもメンバーにもあったのでしょう。その現象が時代の産物であることに気付かず、あっというまに時代に置いてきぼりにされてしまいました。ボロボロの夢にしがみついているのが現状です。曖昧模糊とした新たな時代は寒そうです。

今年の寒波のように

寒い時代が来るのでしょうか。

大納言様の年齢では大きな節目の年に当たるのでしょうか。
これまでの人生が大きく変わる節目と時代の節目が重なるということはよくあること。というよりもそういう時代の節目に敏感であること、それを自分の人生と重ね合わせて評価してみることが大切なのかもしれませんね。

大納言様には節目を乗り越えて、私どもと楽しく付き合っていただけるよう切望します。

  • [2012/12/27 21:47]
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Re: 今年の寒波のように

> これまでの人生が大きく変わる節目と時代の節目が重なるということはよくあること。というよりもそういう時代の節目に敏感であること、それを自分の人生と重ね合わせて評価してみることが大切なのかもしれませんね。

「節」はセツとも読み、易では「節度・節約をもって事に当たれ、誘惑が多いときだが、やたらに行動を起こすべからず、しかし節約もまたやりすぎないように」という意味だそうです。なんだか私の立場をよく言い表しているように思います。

変わる職業世界

校正の仕事は減っているのだろうか。書籍など一定ペースで作られ続けるものだから減るとは思えない。そして若年層が新たに校正の仕事に参入するとは考えにくい。現在校正をやっている人たちへの仕事の比重が増えそうに思うのだが。
パソコンで原稿を書く人が多くなったし、文章入力がこれだけの精度で出てくると校正の仕事の一部がパソコンに肩代わりされそうにも見えるがあくまでほんの一部で、パソコン文章だから校正がいらないなどというとんでもないことは誰も言わないだろう。
しかし校正の仕事も変わったらしい。大納言殿の文章によれば、私が知っているころの辞書を片手にといった風情でなく、パソコンを必需品として作業しているようですね。パソコンで作った文章をパソコンで校正、ここにヒントがあるのでしょうか。
新技術や激安商品がある職種を成立させなくなる時代を我々はずいぶん見てきた。デジカメの普及で街の写真屋さんは激減したし、ドンキホーテの8000円自転車を自転車屋さんで修理しようという人はなさそうだ。特にパソコンが印刷関係に与えた影響は小さくない。印刷・出版関係である校正の仕事もその影響を免れなかったのか。
この問題を良し悪しでどうこう言っても始まらない。我々の感情にも多少のノスタルジーは入っている。宮城まり子の唄う「ガード下の靴磨き」も鶴田浩二の「街のサンドイッチマン」もほぼ消えたのだ。
 大納言殿の身近な個人世界の話を社会問題的にしてしまうのは不本意ながら小生の癖というよりは業と言ったほうがいい。こんなコメント者が一人くらいいてもいいのであれば続けましょう。コメントの長い問題も。
 来年もよろしく。いや、今年もう一本くらい出るのかな。

Re: 変わる職業世界

後藤さんのコメントはいくつかの問題をごっちゃに提示されているので答えにくいけど、1字1字手打ちしていた時代に比べれば校正の労力は削減されて当然でしょう。紙の印刷物がWEBにシフトする一方で雑誌はどんどん減っていますがではWEBでの校正はどうなっているのかは把握しきれません。大手のつくるWEBマガジンではさすがにヘンな記述はありませんから、紙と同じ校正を掛けているのでしょうが、高齢者に声がかかることは期待薄です。

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