彼岸前 

清洲橋


    弟の遺影新しくする彼岸
                    
3月18日は下の弟の命日だ。命日とはいっても亡くなった日がはっきりわからないので父が決めたものだが、18日は牡羊座である弟の吉日だし彼岸前でもありいい日にしたものだと思う。命日に当たり気になっていた遺影を作り直した。銀塩プリントからスキャンし直したが、ネガのゴミが多く修正に結構手間がかかった。額も同じダイソーの商品だが新しいものに替えた。当時勤めていた渋谷の地下ボイラー室で撮った写真で、作業着姿の表情が気に入っている。この頃が彼の最も生き生きとしていた時期だったように思う。版画で愚安亭遊佐「こころに海をもつ男」のポスターを作ったのはこの頃だ。私が祐天寺に住んでいたので、時々2人で飲むこともありコミュニケーションは悪くなかった。 

弟は新聞店をクビになった後、人形劇団に入ったりウインドウ制作会社にいたりしたが長続きせず、土方をやって飯場に入り一時「行方不明」騒ぎを起こしたこともある。私のところへもよく金を借りに来たが、こちらも金がない時代で1万円を分けるのに大変苦労した。割と安定したボイラーマンを自分から辞め、友人たちと川崎に引っ越して注入工を始めた頃から弟との接点がなくなってしまった。人間関係では何かとストレスが溜まっていったのではないだろうか。突然植木屋に転職したという話を聞いたが、それも仕事がなくなったらしく、最後は警備会社に入ったが1か月も経たない内に辞めてしまった。「人に嘘をつかせるひどい会社だ」と憤慨していた。ついてなかったと言うしかない。
弟は都会との付き合いに悪戦苦闘し敗れた。適当に要領よくこなして生きていくことが彼にはできなかった。ついついアルコールに逃避したことが寿命を縮めたのだ。新しい遺影にコンビニで買った紙カップ黄桜「辛口一献」を供えた。暗い団地の森に春の嵐が吹きまくっている。
     

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コメント:

なかなかつらい話です。

大納言さんの心の中に、もう少しなんとか相談にのってやっていればなど、悔やんでも悔やみきれない思いが残っているのでしょう。兄弟をなくした経験は無いですが、想像はできます。良いコメントが見つかりませんが、残されたもののつとめとしては、生きる喜びを弟さんの分まで味わってあげるしかないのではないか。そうか明日は春分の日ですな。墓掃除まだしていない。

弟さんの遺影に…

常の年より早く咲いた桜を…。
実物はお届けできないので、せめて気持ちだけでも<(_ _)>

Re: なかなかつらい話です。

後悔しきりです、冷たい兄だったかもしれないと……。

Re: 弟さんの遺影に…

ありがとうごぞいます。

つらい思いをお持ちですね。

私は兄弟がいないので、実体験としては理解できないのですが、やはり到底忘れることのできない経験だと思います。
忘れないことが、最大のご供養のような気がします。

  • [2013/03/19 21:48]
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Re: つらい思いをお持ちですね。

去年も高石へ行ったことを書きましたが、弟の魂はまだあのへんを彷徨っているような気がしてなりません。

彼岸世界

死後の世界とはどのような世界であろうか。
かつて丹波哲郎が、あの世とはすごくいいところだ、と言っていたが、そうであって欲しいと思う。この世にはろくろくいいこともないまま死に至る命が多すぎる気がする。飢餓の中に生まれ、そのまま飢餓の中で栄養失調で10歳にも届かずに死んでいく命などを極端な例として言っているのですが、喜びと悲しみ半々くらいならまだしも、とても帳尻が合わない。せめて、あの世がいい世界であることによって埋め合わせ・帳尻合わせがあって然るべきだ。彼岸は彼岸足りえているだろうか。
こういう心情は、死者を思いやるものと言うよりは、生前にしてやれなかったことへの心の負担を減らそうとする生きている者の身勝手かもしれぬ。それでもあの世の紹介者と自称していた丹波哲郎の言でも思わなければ、喜び薄く短い命への鎮魂は難しい。
この季節は、人に昔を思わせ、昔を彩った「逝きし人々」を思い出させる。弟さんの住んでいた高石に行った時の文章からもう1年経ったのですか。心象風景と表現される風景との融合が心に残った文章だったように記憶しますが、心に沁みるということですよ。

Re: 彼岸世界

丹波の「あの世はいいところだ」の心は、誰も帰ってこないからというものでしたね。
身勝手と言えば弟が生きている時にした私の身勝手は数限りなくあります。亡くなった仲間のO君、I君に対しても同様です。もう身勝手が出来ない今だからこそ、かつて自分がした身勝手がクローズアップされるのでしょうか。

彼岸は彼岸足りえているだろうか。

後藤さんのコメントが、ずっしりと、沈んで、なかなか勢いが出ませんな。彼岸で鎮魂できることもあれば、一生かかっても鎮魂かなわぬこともあろう。
 but弟さんも、O君もI君も、身勝手されたと、はたして思っているだろうか…。大納言氏はそろそろ解放されてもよいのではないか。鎮魂かなわぬとしても、一度ご自身の身も心も、解き放ちを!

Re: 彼岸は彼岸足りえているだろうか。

ありがとうございます。読まされる側からすると面倒くさいことかもしれませんが、なかなか……。

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