父からの電話 

野辺地


月曜日の朝、亡き父の夢を見た。父の夢というより父と電話で話している夢だ。「おー」と言う父の声が驚くほど明瞭に聞えた。「母さんが亡くなったの、知ってるだろ」と訊くと「(そのことで)10年老けたよ」と言うので、「元気ならそれで……」と言い掛けて、声が詰まった。振り向くと母の病室にはもう誰もいない。窓の外は冬枯れの野山……そこで目が覚めた。8時ちょっと前である。慌てて起き出し父の写真に手を合わせた。

  幽明を繋ぐケータイないものか

これは下の弟が亡くなったとき、そうとも知らずにつくって東京新聞の時実新子川柳教室に投稿し採用された作品である。彼の遺体が発見されたのは奇しくもその直後であった。あれから12年、父も母も逝って我が家は土の下の方が賑やかなくらいだ。弟は相談相手にならず、話したいのは異界の人たちだが、その間の交信はまだ夢という頼りない手段に委ねられている。思いがけぬ父からの夢電話……それは早く墓参りに来いということであろうか。
      

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コメント:

お前はまだそっちに居ろ!

お父上はそう言いたかったと思えます。お前は寿命はまだまだあるはずだ。野菜ジュースも飲んでるし、健康全体に留意している。入れ歯もいれすに済んでいる。がんばっているじゃないか。と。冬の野辺地ですな。寒いんでありましょうな。

まだ古稀だべ!

我が同期は、月日の差はあっても皆「古稀」だ。いにしえ人から見れば想定外の長寿をさして「古来稀なり」と感嘆したんだろうか。しかし、現今では「古稀」は、まだ若造なんだから「通りがかり人」さんのいうとおり、ご両親は「お前はまだ来るな!俺の年齢になるまでそっちで人生を楽しめ」とスマホで、「古稀」を迎える大納言あてへの元気づけだったのではないのかな。

私も

ご無沙汰しております。
私も皆様と同じく、元気でいてほしいのだと思います。こちらも、来月、夫の三回忌の予定です。私も、なんとなく落ち込んでくると、父や夫の夢を見ます。そういえば電話の夢も見たなぁと思い出しました。

Re: お前はまだそっちに居ろ!

ちょっとちがうな。最近の動きについての「電話」みたいですよ。あっちへ行く気はさらさらありませんけど……。

Re: まだ古稀だべ!

終戦時、日本の平均年齢は50歳台だったそうですね。
しかし、生々しい会話でした。何だか気になります。

Re: 私も

こちらこそご無沙汰で……。命日は1月でしたね。改めてご冥福を祈ります。
それにしても生々しく鮮明な夢の感触に驚かされました。すぐ弟に話しましたが、案の定レスポンスはなし。

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