赤い橋 

新田橋

木場の路地裏。洲崎神社間近の大横川に掛る赤い橋が新田橋である。昭和7年、医院を開業していた新田清三郎が、不慮の事故で亡くなった夫人の霊を慰めるため地元の人々の協力を得て掛けたものだ。最初新船橋と命名されたが、地域の相談役であり亡くなった後も人望の厚い新田医師の人柄から、いつしか新田橋と呼ばれるようになったという。平成12年、大横川の拡幅工事に伴って現在の橋に掛け替えられた。

私にとっても新田橋は昔々からこの地のランドマークだった。木場の叔父叔母を訪ねてしばしば上京したときから、この橋を渡るのが常であった。だだっ広い永代通りを走る都電の鉄の塊のような台車の音や、架線が散らす青白い火花とともに私の記憶に刷り込まれている。近くには確か大学いも屋もあったと思う。今は叔父叔母も亡く、叔母を頼ってよく来ていた私の弟も亡くなってもう10年が経った。浅川マキ「赤い橋」の物憂げな歌が聞こえる。「渡った人は帰らない……」と。赤い橋はやはりこの世とあの世をつなぐ舞台装置なのであろうか。
 

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