猫町 

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仕事があったり法事があったりで、このところチラシ配りは中断している。チラシ配りの大敵は犬で、これに吠えられると万事休すである。某所にそばを通るだけでメチャクチャ吠える犬がいるが、その顔と言ったら……ま、この世の終わりだ。聞いたところでは、チラシ配りを生業にしている人が犬に追いかけられ、転んでケガをしたが補償もなく大変な目に遭ったらしい。その点、猫は犬のように通る者に職業意識を丸出しにしたりはしない。むしろ人間を見ると何かされるのではないかとビクビクしている被害者意識がもどかしいけれど、それもまた彼らなりの処世術であろう。猫(とくに野良猫)はただ風景であることを望んでいるのだ。
朔太郎の『猫町』は方向感覚の錯乱が引き起こした幻想と説明されるが、猫派の人間なら誰でも猫だけが住む町に迷い入りたいと思っているはずである。この小説の前にブラックウッドの怪奇譚『いにしえの魔術』が存在するので、朔太郎はこれからインスパイアされたのではないかとも言われる。いずれにせよ、この中編で主人公を虜にする17歳の娘イルゼの魅力は猫のコケットリーそのもので、猫好きをにんまりさせるような描写が続く。日影丈吉の『猫の泉』も、ローライを下げた写真家が南仏の山中にある古い町を訪ねるという、前二者と似たようなシチュエーションで始まる。町の人々は口をきかないかわり、枯れた泉の周りに集うチベット猫が次第にその数を増していく。やがて「私」は教会の大時計が語る「予言」を聞き取るのだが、それはカタストロフィーを告げていた。猫町を書いて忘れがたい余韻を残す1冊である。

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コメント:

猫目

二階屋の窓辺で交尾真っ最中の猫と眼が合った。しばらく見つめあったが鋭い目つきに恐怖を感じた。十数年前の事なのに未だに忘れられない。だから猫は嫌いだ!

Re: 猫目

テメー何見てんだよって場面ですな。猫を恐怖の対象にしたホラーもいっぱいありそうですが、いまは思い浮かびません。大震災の地で犬猫はどうしているのか、気に掛かります。

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