不老不死の血 

大島

小松左京先生が亡くなった。『果てしなき流れの果てに』の冒頭、鳴り響いていた電話はいったい誰が誰に掛けたのだろう? ついに聞きそびれてしまった。

一向に収束しない原発事故の報道を見続けていて、SFが日本に紹介され始めた頃の作品の1つ『21世紀潜水艦』を思い出した。ハヤカワサイエンスフィクションシリーズの初期の1冊として58年に出されているが、原子力潜水艦が原子炉事故を起こし、それに対処しようとするクルーたちの絶望的な戦いが延々と描かれる。まったくカタルシスのない小説だったと記憶する。作者は(そうと知ったのはごく最近のことだが)フランク・ハーバート。『デューン/砂の惑星』の作者として憶えている人もいるだろう。こちらは映画化もされたが難渋な作品として問題になった。
もう1つ引っかかっているのは、ジェームス・ガンの『不老不死の血』というマイナー作品。創元推理文庫から64年に出たがすぐ絶版にされた(?)という不運な書である。舞台の近未来は金持ちだけが医療を独占する超階層社会。不老不死のγ-グロブリンを持つ少女と、彼女を送り届ける役目を負った私立探偵との逃避行に『ゲッタウェイ』ばりのマンハント劇が展開する。この本が絶版になったのは中に差別言語があったというより、厚木淳があとがきに書いた「資本主義で健康保険を実施する矛盾」というくだりが問題だったのではないだろうかなどと想像している。今も都内ではいくつかの図書館で所蔵しているから、その気になれば読めないことはないのだが……。
       

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コメント:

日本沈没

読売新聞7月29日付朝刊の編集手帳の記事「日本列島孤を中心にして、巨大な地殻変動が起こりかけている、というアメリカ測地学会の発表が電撃のように世界をゆさぶったのは三月十一日・・・。小松左京氏の小説「日本沈没」である。1973年に今日ある事を予知していたのか?!合掌

Re: 日本沈没

そうですか、小説の日付がリアルですね。最初の映画化は必ずしもいい出来とは言えませんでしたが、それなりのショックはありましたね。

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