山田利男さんの死を悼む 

ネコ2

足利の山田利男さんが亡くなった。6月に亡くなったことを迂闊にもまったく知らずにいたのだ。昨年3月に食道ガンが見つかり、放射線治療を受けたことが心臓に悪影響を与えたらしいが、詳しいことは不明である。

山田さんは74年にワークショップ・写真学校/東松照明教室の第1期生として入学する一方、地元足利で写真店を営みながら作品を発表し続けた。同人誌『VIEW』に連載した「家族」シリーズは、87年に『家族』として出版され大きな反響を呼んだ。モノクロームで妻や子や母親を撮ったこの作品は、どこにでもある家族の貌を赤裸々に浮かび上がらせている。その後は捨てられたビニ本が散乱する光景を撮った「地上散乱」シリーズ、狛犬や石仏を独特の美意識で撮り続けた「神仏日本」シリーズを発表。Web上で展開された作品に「雲」や「猫」がある。山田さんは写真のほかに小説を書いたり、パフォーマンスやインスタレーションもこなす多才なアーティストであり優れたオルガナイザーであった。

私は水戸のY君に紹介され恐らく20年にもならない付き合いであったが、写真展のオープニングにはそのつど顔を出し、山田さんの汲めどもつきぬイマジネーションに驚かされた。最後の展示は足利美術館の「足利風景」という昨年末の企画展で、山田さんは尾仲浩二・吉増剛造・小林のりおなどとともにカラー作品を出展していた。その時、美術館内のコーヒーショップでコーヒーをご馳走になったのが最後になった。今年の4月、メールに「説明しにくい状況ですが、最悪といってよいかもしれません。楽に死ねるなら、その道を選びたいと思っています」とあった。享年70歳。心より冥福をお祈り申し上げたい。

※山田さんの経歴については『INDEPENDENT PHOTOGRAPHERS IN JAPAN 1976-83』('89 東京書籍)を参照しました。
      

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コメント:

偶然ですが…

『足利風景ー旅の視線、地の視線』という2010年10月発行の小冊子が、手元にあります。
山田利男氏の作品では、東武伊勢崎線野州山辺とJR両毛線足利の駅舎とを撮影したものが掲載されています。
どちらの写真も、足利で生まれ育った人ならではの選択のような気がしました。
と同時に、日中の駅前という人が集まることが当たり前の場所なのに人影が全くない、どこか不思議な空気を感じました。

先月、立ち寄った足利市立美術館でたまたま入手した小冊子だけの御縁ですが、ご冥福を御祈りいたします。

Re: 偶然ですが…

あの時の図録をお持ちだったとは偶然ですね。山田さんのホームページにUPされた膨大な画像が、本人の死去によって消滅してしまったことはまことに残念と言うほかありません。『足利風景』の確か4点のカラープリントは、足利でありながら普遍的な小都市の昼夜の風景を写していたように記憶します。惜しい人を失ったものです。

はじめまして

突然の書き込み失礼致します。
トシさんとは地元が同じでSNS経由で知り合い
一度写真展にお邪魔したことがあります。

数年前に闘病中とご本人の日記で知りまして、
1年ほど前に氏のホームページが消えていたので
嫌な予感がしたのですが、昨日テレビでロバート・キャパの
モノクロ写真を見ていたら、ふとトシさんのことを思い出し
検索の結果、このブログに辿り着きました。

そうだったのですね。今更ですが残念ではあります。
ご冥福をお祈りします。教えてくれてありがとうございました。

Re: はじめまして

ネコ温泉様、お越しいただきありがとうございます。
山田さんを中心に成り立っていた足利のアーティストネットワークはどうなったのでしょう。山田さんの来るものは拒まずという人柄あっての繋がりだったのではないでしょうか。忍ぶ会を催すような話もありましたが、立ち消えになっています。左のメールフォームからご連絡いただければ、お知らせできることもあろうかと思います。

ご返信ありがとうございます

メールフォーム投稿させていただきました。

そちらにも書かせていただいたのですが、
自分がトシさんと知り合ったのがmixiというソーシャル・ネットワークでした。
そのときは足利から離れており、帰省の際に同じくmixiで知り合った
トシさんの友人に紹介して一度だけお会いしております。

しかし、数年前からその友人の方も音信不通なのです。

山田さん

山田さんは 身内にあたります。写真が本当に好きでした。今頃コメントすいません。

Re: 山田さん

有紀さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
山田さんには甘えて本当に迷惑を掛けてしまいました。
その後、偲ぶ会などの企画もないようですね。
足利もすっかり足が遠のいてます。

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